2017.9.5

働くってこういうことなんだ!中学生のクリエイターオフィス訪問会

2017年7月25日。普段は埼玉県の横瀬町で過ごしている中学生たちが、片道2時間電車に揺られ、都心にやってきました。

彼らの目的は、横瀬町を舞台とした地方創生・教育プロジェクト『横瀬クリエイティビティー・クラス』に参加している都内のクリエイターたちのオフィスを訪問すること。

ことの発端は、2017年4月22日。プロジェクトのキックオフとしてに行われた「横瀬クリエイティブソン」に参加した中学生の上げたひとつの声でした。

「クリエイターのみんなが働くオフィスに行ってみたい!」

彼の声を受け、クリエイターと彼らが所属する企業がオフィス訪問会を企画。そしていよいよ実現することになったのです。

夏真っ盛りの日差しに照らされながら、オフィスのドアを叩く中学生たち。そして、じつはドキドキしながら彼らを待つクリエイターたち。中学生にとってもクリエイターにとっても、特別な1日が幕を開けました。

アイデアを仲間とともに形にする。共創実践の場「PLY」

最初にやってきたのは、大田区にある「FUJITSU Knowledge Integration Base PLY(通称PLY=プライ)」

PLYは世界180カ国以上でテクノロジー・ITサービスなど多岐にわたる事業展開をしている富士通グループが運営する、あらゆる人や技術をつなぎ、刺激し、形にすることを目的とした共創実践の場です。

施設内にはさまざまな展示物のあるエリアや、3Dプリンターやレーザーカッターなどのデジタル機器を実際に使用できる工房エリアなどがあり、訪れた人々のアイデアを刺激し、またそれを形にできるような環境が用意されています。

参加クリエイターの一人である、富士通・武田さんの案内のもと、中学生たちも最新のテクノロジーに触れていきました。

初めてみるタッチパネル型巨大ディスプレイをまじまじと眺める中学生たち。「アイデアDB(データベース)」と呼ばれるこのディスプレイにはいくつものビジネスアイデアの“種“がストックされていて、タッチ操作で自由に閲覧できます。

展示物には実際に体験できるものも。良い笑顔!

このほかにも、ソフトバンクのロボット「Pepper」と話をしてみたり、工房エリアのデジタル機器を間近で見学したり。さらには、開発チームのみなさんにお願いして、足の動き・圧力・曲がりなどをセンシングしてそのデータを活用できる「interactive shoes hub」のさらに次世代版である“触覚をデジタルで表現・再現できるシステム”を体験させてもらうという貴重な経験も!

VR(バーチャルリアリティー)の次に来ると言われている触覚体験。「未来のゲームでは、いろんな触感も楽しめるようになるの?」と、子どもたちも想像を膨らませていました。

はじめてだらけの施設見学に、中学生たちは終始みな興味津々。最初は緊張していた中学生も、いつの間にか目をキラキラと輝かせていました。一通り施設見学を終えたら、ワークショップスペースでひとやすみ。今度は武田さんから、富士通という会社や普段のお仕事について紹介をしてもらいました。

富士通で働く人数は、グループ全体も合わせると約16万人もいるそう。その数に「横瀬の全町民の20倍!」と驚く中学生たち。

武田さんは現在、富士通が2012年から開始した「あしたのコミュニティーラボ」という研究活動に取り組んでいます。活動内容は、「社会的な課題に対してクリエイティブに取り組むヒトとその活動を追いかけ、Webメディアで発信する」こと。

普段は編集者として活動されている武田さんですが、横瀬クリエイティビティー・クラスでは、まさにその「クリエイティブに課題解決に取り組むヒト」の立場となって参加してくださっています。そして、武田さんが今回のオフィス訪問を通して中学生たちに伝えたかったこととは?

「今回の見学を通して感じてほしかったことは、いいアイデアが思いついたらすぐにカタチにしてみること。そして仲間を集めてアイデアを試してみることの重要性です。いろんなテクノロジーが発達して、チャレンジがしやすい時代になりました。富士通でもチャレンジを応援する場所としてPLYをつくり、運営しています」

横瀬クリエイティブソンでファシリテーターを務めてくれた富士通総研の佐々木さん、武田さんと同じくあしたのコミュニティーラボで「あしたラボUNIVERSITY」などのプロジェクトを手がける浜田さんにも、お仕事の紹介をしていただきました。

PLYの前で記念撮影。初めて飲むDr.pepperは大好評だったようで、みんなにっこり。

一つ目のオフィス訪問はこれにて終了。

お昼ご飯を食べたら、次なるクリエイターが待つオフィスに向けて出発です。

働き方も、オフィスも、型どおりでなくていい。森に囲まれた静かな一軒家、「AID-DCC東京オフィス」

次に訪れたのは、京王井の頭線・新代田駅から徒歩5分ほど、羽根木(はねぎ)の森の中にオフィスを構えるクリエイティブエージェンシー、AID-DCC(エイド・ディーシーシー)。

「あれ、普通の家‥?」と不思議そうな顔で入って来た中学生たちを、プログラマーの鍛治屋敷さんが迎えます。それも当然、AID-DCCがオフィスにしているのは本来住宅用の建物。内装も“オフィスらしさ”は抑えられ、ソファーやテーブルなどが置かれたリビングはアットホームな雰囲気です。

ここでもまずはオフィス見学をということで、さっそくリビングのらせん階段を上がってクリエイターたちが働くワークスペースへ。

 

少し緊張気味で、クリエイターたちが働くフロアへと階段を登っていきます。

ディベロッパーやデザイナー、ディレクターなど、さまざまな職種のスタッフがデスクを並べているなかを、順番に見学していきます。

デザイナーの有吉さんは、ライブイベントの仕事で制作したモーショングラフィックを披露。人型の3Dモデルが出来上がるまでのお話や、実際にそれらが動き回る様子はとても新鮮だったようで、中学生たちも同行した大人たちも感嘆の声を上げながら、真剣にディスプレイを見つめていました。

中には、「将来こんな映像を作る仕事をしてみたい!」と言ってくれた子も。

ディレクターやディベロッパーからは、仕事の進め方や、実際の制作物を紹介。リビングのプロジェクターを使って、臨場感たっぷりにゲームキャラクターを動かすシステムや変わった動きをするサイトの仕組みなどを見せてくれました。

ディレクター、ディベロッパーチームがリビングに大集合して、これまでに手がけて来たさまざまな作品を紹介。「これ知ってる!」というものが現れる度に、こどもたちも笑顔に。

「自分の中学生時代を思い返すと、仕事の具体的なイメージなんて全然できていなかった。」という鍛治屋敷さん。

「大人でもわかりにくい僕たちの仕事を、実際のオフィスで社員と触れ合うことで、将来働く何かしらのイメージを、今の自分たちと地続きで感じてもらう機会にしてほしい」

そう話す鍛治屋敷さんの思惑通り、中学生たちからは「本当に家のような場所で働いていて驚いた」「パソコンをカタカタやっているだけのイメージだったけれど、楽しそうに働いていて自分も楽しく仕事をしたいと思った」といった感想が。

ぼんやりとしたイメージしかなかったクリエイターの仕事が、リアルな働き方に触れたことで、輪郭が少しずつ見えてきたようです。

最後に記念撮影をして、無事終了!本日最後の目的地に向けて、一行は羽根木のオフィスを後にします。

経歴も国籍もさまざま。好きなこと、をやり続けた人が集まる「SHIFTBRAIN」

最後に訪問したのは、外苑前にオフィスを構えるWeb制作会社、SHIFTBRAIN(シフトブレイン)です。

オフィスの周りだけ、まるで外国の街角のような外観…!実際、シフトブレインでは海外の方も働いています。オシャレ!

今回はデザインディレクター / デザイナーの鈴木さん、広報の松沢さんにオフィスを案内してもらいました。

SHIFTBRAINのオフィスは内装もとってもオシャレ!1階にはパーティーや交流会に使われるというバーカウンター付きのキッチンスペース、2階にはビーズクッションがたくさん置かれた通称『ブレストルーム』が。

ちなみに『ブレストルーム』では、昼寝をするスタッフも!?でも、別にサボっているわけじゃないんです。「ランチの後など睡魔に襲われて仕事がはかどらないときは、30分寝てもいい」という社内制度を活用しているだけ。う、うらやましい…!

デザインディレクター / デザイナーの鈴木さん(左)と広報の松沢さん(右奥)

どのスペースでもおしゃれなBGMが。「ココって本当に会社?」「TVで見た海外のカフェみたい…」と中学生たち。

さて、一通りオフィス見学を終え、一行はミーティングルームへ。鈴木さんの呼びかけで他のスタッフの方々も集まり、大きなテーブルを囲んでの座談会が始まりました。

スタッフの自己紹介から、これまでに手がけた案件の紹介と続き、話題はSHIFTBRAINで働く人たちが「なぜ今の仕事をしているのか」、「なぜSHIFTBRAINに入ったのか」というバックグラウンドの部分へ。

プランナーの浦川さん。「まずやってみる、チャレンジするということがとっても大事。そして遊ぶときは遊んでいいけれど、その時々で自分を見つめ直して、きちんと頑張れるかがその後の人生に作用してくる。」

現在SHIFTBRAINでプランナーを務める浦川さんは、もともとプロのバスケットボール選手を目指していました。しかし大けがで断念せざるを得なくなり、挫折。そんなとき、電車のなかで見かけた広告のコピーに勇気をもらいました。「こんな広告をつくる仕事がしたい!」と思ったことが、現在の仕事を目指す原体験となったそうです。

その他のスタッフも、仕事はもちろん、仕事以外の趣味(ダンスやマジックやテニスなどなど…)も同じように大切にし、きちんと両立して楽しんでいるそうです。

「SHIFTBRAINは好きなことをずっとやってきた人たちが寄り集まっている。そういうものを見つけられたら、きっと人生は楽しくなる」と鈴木さん。

「経歴も国籍も多種多様なスタッフに働き方や今の仕事にどうやってついたのか、などなど経験談を中心に話してもらい、中学生が将来に可能性や希望を持ってもらえるといいなと思いました。」

その後も、中学生からは「この業界に入ってよかったと思うことは?」や「それぞれのストレス発散法は?」など矢継ぎ早に質問が。クリエイターたちとのコミュニケーションを経て中学生たちの興味は広がり、インタビューもサマになってきました。

最後の訪問先、SHIFTBRAINの前でも記念撮影。みんな1日お疲れさまでした!

3社3様の人・職場・仕事。今日の経験を自分の将来への足がかりに。

丸1日のオフィス訪問を経て、それぞれのクリエイターたちが、どんな場所で、どんな風に働いているのか、何を作り出しているのかを、目でも耳でも、時には実際にふれてみたりして、とにかく全身で体験した中学生たち。

「思った以上に自由で、全然イメージと違った」
「生き生きと働いている姿は想像どおりだった!」
「自分もCGを使った映像を作る仕事をしてみたい」
「見せてもらった様なポスターや画像を作る様な仕事がしたい」
「働いている人たちが暖かくて優しくて、魅力的だった」

などなど‥

イメージがガラッと変わったところもあれば、思った通りだったところもあったり。自分がやってみたいな、と思える仕事との出会いがあったり。

実際に経験することでしか得られなかった気持ちや体験を通して、ぼんやりとしたイメージでしかなかった「仕事」が、確実に彼らの中で何かしらの“形”を持ち始めたのではないでしょうか。

そして、まだまだ将来と言われてもピンとこないのがおそらく当たり前な年齢の彼らに、「またオフィス訪問があったら絶対参加したい!」と、仕事や働き方についてより一層の興味を持ってもらえたこと。きっと、彼らの未来の可能性を広げるきっかけの一つとなったはずです。

横瀬クリエイティビティー・クラスの取り組みは、横瀬町の地方創生、そして子どもたちの生き方をより多様に、豊かにすることを目的として続いていきます。(オフィス訪問会も、もしかすると第2弾が開催される‥かもしれません!?)

みなさまどうか温かく、そしてよろしければぜひご一緒に、これからの活動を見守ってください。

著者:樋口あるの(AID-DCC Inc.)

_